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中医火神派医案新選  その19

中医火神派医案新選
その19


24.飲癖――蒼朮丸
  王某、男、42歳。濃いお茶を好んで飲み、飲んでは清水を吐き、毎回甚だ多く吐くことがもう10数年の長きに達している。中医は反胃の治療を施し、四逆湯等の加減方及び丁香・乾姜・附子・呉茱茰を以って温運法を用いたが、あまり効果が見られなかった。方を改め五苓散・胃苓湯の建碑利水もまた無効だった。毎年夏季になると最も激しくなるので、すなわちわざわざ昆明まで治療に来る:
  脈弦滑、舌苔厚膩、顔色は暗い黄色、胃脘満悶、食少。脈証を合参しての診断は飲癖である。徐霊胎の香砂胃苓湯加高良姜を以って処方し、服用後その病は以前の如くである。原因を考えるとこの証に温運或は健胃利水の剤を与え、欠点があるがとるべき点もあり、それでどうして効かなかったのか?はっと悟るがこの病歴十数年の長きにわたり脾虚がその本であり、飲聚はその標であった。《内経》には“よく標本を知れば、万挙あっても万当たる”と云っている。本を治すには健脾燥湿から手を入れねばならず、脾が健やかになれば自ら湿は運ばれ、飲はどうして生じようか!すなわち飲癖の蒼朮丸を専治として与えるが、今回は多量の湯薬とする:
  蒼朮60g、大棗12枚。日に1剤服用を云いつける。方中蒼朮は苦温で燥湿健脾できる。《名医別録》ではよく“消痰水”と謂われる;大棗は甘温で脾胃を補益する。二薬は相合して補散を兼施し、剛と柔でともに役に立つ。蒼朮の散は大棗の補を得て、散じ過ぎないという役になる;大棗の補は蒼朮の散を得て、壅滞の弊害をなくすように調える。調剤が的確であれば脾胃にとって大変有益であり、故に多く服用しても害はない。
患者は20剤連続して服用し、吐水は半減した。なお原方を守りそれに脾の力を助ける灶心土30gを加える。再び20剤服用し病は遂に癒えた。即ち患者には濃いお茶を少しだけ飲むほうが良いと告げた。治癒後に経過観察を半年、未だに再発していない。この方は反胃吐酸等の症を治すのに用いて治療効果は良い。

  評注:この案はかなり珍しい飲癖で当に陰証に属し、正治と称される姜附・四逆や五苓散・胃苓湯の利水などを用い誤りではないが、どれも無効であった。専ら飲癖を治す蒼朮丸を投じることで終には良効を収めた。例え姜・附でも陰証をすっかり治すことができないと知る。考証すると蒼朮丸の出自は《類証治裁》で、蒼朮一味は粉末とし大棗肉は丸として、飲癖や嘔酸曹雑さらに心が飢えた如くなどを治す。本案を選び一つの参考に供する。

25.寒凝発顎――封髄丹加呉茱茰・肉桂
  陳某、女、25歳。入院中の某医院の診断は腮腺炎で、夏枯草等の薬物及びストレプトマイシン等を用いたが無効であった。そこで余が診療を請われた:左耳下腫れてはいるが皮膚の色は赤くなく、触れても熱なく飲を欲せず。舌質は青滑、脈沈緩。これは肝寒木欝に因って陰寒の邪が少陽経脈に凝滞することによりこの証を形成するにいたった。封髄丹加味を与える:
  焦黄柏9g、砂仁6g、甘草6g、呉茱茰6g、肉桂6g。
  本方は陰陽交通を目的とし、黄柏・甘草の苦甘化陰、砂仁・甘草の辛甘化陽、これに呉茱茰・肉桂の温肝・散寒・解凝を以って合わせた。このように陰陽の交通が得られれば、肝胆の気機も昇降を得られる。連続して2剤服用し腫勢すでに減じた。再度2剤服用させ病は全て癒えた。

  附:熱毒発顎――銀花甘草湯加味
高某、男、10歳。患者は発熱し両耳垂下部が腫大疼痛、西医診断は腮腺炎で西薬を用いて治療したが、すでに十数日になり余が往診を請われた。症状を診ると口を広げるのが困難で、飲食も飲み込めず便秘し、舌紫、両脈弦数。脈証合参すると風熱の毒を感受し、熱毒が顎部に壅結し病が少陽・陽明の両経にある。銀花甘草湯加味を用いる:
  金銀花9g、甘草6g、紫草6g、黒豆15g、緑豆15g。この方はすなわち軽揚の剤で、効能は清熱解毒、涼血養肝で、熱毒を外散に導引する。
  上方2剤服用し、熱は退き腫勢も大方消えて、疼痛は比較的緩んで口も開けられるようになった。原方に紫花地丁9g、夏枯草9gを加え、以って清熱解毒・清肝散結の力を増強すると、2剤服用し直ぐに癒えた。
  この案は陽経に熱結しているので苦寒を多く用い過ぎないよう、熱毒内陥や他変を生じることを防ぎながら因勢利導の涼散を与える。

  注釈:以上2例は発顎(腮腺炎)で一つは寒一つは熱、寒の方はみな“陰象”・“陰色”が現れ、熱の方はみな“火形”・“熱象”が現れていて対比が役に立つ。その中の寒凝発顎は清肝及び消炎を用いてなかなか治らず、症を見ると腫れたところは赤くなく熱もない、さらに飲み物を欲しがらず舌質が青滑、脈は沈などの寒象から陰証であると断定し、陰陽交通を以って気機を調和し治癒した。経過した症候の病機を分析し同病でも治法が異なり、二例はどちらも全快の目的を達した。
                                続く



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by sinsendou | 2012-07-29 00:39 | 中医火神派医案新選①~

中医火神派医案新選  その18

中医火神派医案新選
その18


23.顫振――朮附湯合姜附茯半湯加味/ 附子桂枝独活寄生湯加南星/ 附子理中湯加味
  劉某、男、60歳。右側手足の顫振が止まらずかれこれ2年余り、中西医の治療はどれも無効だった。症状は右手顫振止まず、物を取ることも持つこともできない。寒を畏れ身体重く、顔色は暗くくすんで艶がない、精神は疲れ甚だ憂えた感じである。舌苔は滑膩、脈象はばらばらで整っていない。服用したところの処方の多くは養血去風や清熱滌痰の類だった。この証はすでに年月が経っていてもし再び遅延でもすれば、すなわち“偏枯”の虜となる。その病根を審らかにすれば、脾腎陽虚と風痰欝阻にある。腎陽はすなわち命門の火で、その命門の火が不足したため火が土を生じない、すなわち脾陽が不振すると水湿が運化されず湿痰が停滞し、肺胃気機の宣達が阻害される。脾は四肢を主どり、肺は一身の気を主どるので、脾肺の機がよく抑制を受ければ木気は鼓舞する、故に手足顫振するなり。その標はすなわち風痰でその本は脾腎にある、故に滋陰養血や平肝熄風は宜しくない。以上の分析を根拠に、先ず壮火扶陽・健脾燥湿・去風豁痰の剤を以って処す。朮附湯合鄭欽安附茯半湯加味を用いる:
  附子60g、漂白朮30g、生姜30g、茯苓15g、法半夏9g、炙南星15g、明天麻9g、白芥子6g、甘草6g。この方は附子に白朮を配して名を朮附湯といい、専ら腎陽虚衰・湿濁停聚の証を治す;生姜・附子・茯苓・半夏は即ち姜附茯半湯で、鄭欽安の謂う“回陽降逆・行水化痰の方”である;加えて南星は風湿を去り頑痰を化す、天麻は鎮静息風、白芥子は豁痰を利気し中を暖めながら寒を除く、2剤を服用させる。
  薬服用後精神好転。根治を求めるには、温腎扶陽・調和営衛・去風散寒燥湿の剤を与えるのが宜しい。この証の原因は、腎陽大虚や脾湿不運ばかりでなく、肺胃の気機が欝滞して容易に営衛失調となり、風寒湿邪が経絡を阻滞して不通となった。もし経絡疏通や気機調暢の剤を捨てるならば、方剤は患部への到達は簡単ではない。すなわち自製方附子桂枝独活寄生湯加南星を用いる:
  附子60g、桂枝9g、炒杭白芍9g、法半夏9g、茯苓15g、川芎6g、防風9g、独活6g、桑寄生15g、烏薬9g、炒南星9g、甘草6g、焼生姜3片、大棗3枚。2剤服すと顫振が軽減したところもあることを自覚し膩苔も退いたが、これはすなわち寒湿が変化したといってもまだ取りきれたわけではない。経絡の疏通によって脈がばらばらの不整から弦大となったのは、脾腎の陽気がまだ回復していないからである。すなわち附子理中湯加味を用いる:
  附子60g、党参15g、漂白朮15g、乾姜15g、法半夏9g、茯苓15g、炙南星9g、明天麻15g、代赭石15g、紫石英15g、赤石脂15g、甘草6g。この方の附子は脾腎の陽を温壮し、理中湯は中焦を奮い立たせ、中央を守り以って四肢末端へ運ぶ、これが即ち理中湯の主旨である。半夏・茯苓を加えて燥湿健脾・降逆化痰する;南星は風痰を除く;天麻・代赭石・紫石英・赤石脂は鎮肝熄風・降逆除湿する。
連続して3剤服用すると、顫振は大幅に減り右手で物を取ることができ、精神は伸びやかとなり、脈象は弦大から柔和に変化し、舌苔は薄膩となった。これは陽気がなお虚であり、寒湿も取り尽くしてはいないので、理中湯合桂枝湯を用いる:
  附子60g、党参15g、白朮15g、茯苓15g、炙杭白芍9g、桂枝9g、甘草6g、生姜9g、大棗3枚。この方の主旨は温扶元陽・補脾化湿・調和営衛・通暢経絡にある。3剤連服して症状は消失し全快となった。

  注釈:顫振の病は、書物記載が甚だ少なく、王肯堂が《証治准縄・雑病》に次のように謂っている:“顫は、振なり;振は、動なり。筋脈の拘束が停止しないとか任務を守り通せないのは、風の象なり。”王氏はこれを陰血不足・気虚・心虚・挟痰の4つに分けた。臨床で見られるのは、湿熱になった者でこれは酒好きの人に多く見られ、または陽虚となった者で即ち本例である。病歴および依然服用した方薬によって総合していま表現すると、脾腎陽虚・風痰欝阻であると判断される。壮火扶陽・健脾燥湿・去風化痰の法を採用し、ついに全治を獲得した。その用薬の中で重要な点は第三診にあり、方中で用いたところの代赭石・紫石英・赤石脂等が、養肝・去痰・降逆の要薬で本から標にまで及び、故に迅速な効果が現れた。ただ初診と次診の方が第三診の創造条件であり、治療の基礎を定めた。もし前の二段階を経なければ、最初から直ぐに第三の処方を用いたならば、これほどの効果を挙げるのは容易ではなかった。臨床治療は、当に標本緩急をはっきり区別せねばならないことを、胸中にきっちりと理解せねばならない。そうでなければ早くしようと思ってもうまくいかないし、為すことが多い割に効果は半分である。
                                     続く



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by sinsendou | 2012-07-23 00:34 | 中医火神派医案新選①~

京都の旅 その69

【平等院】

10円硬貨の図柄でお馴染みの『平等院』。

『平等院』は永承7年(1052)、関白藤原頼通によって開創され、鳳凰堂はその翌年の天喜元年(1053)、阿弥陀如来(国宝)を安置する阿弥陀堂(国宝)として建立された。庭園は浄土式の借景庭園として史跡名勝庭園に指定され、現在、鳳凰堂周辺の洲浜や平橋・反橋、小島などが整備されています。

その他にも、平等院には、大和絵風九品来迎図(国宝)、梵鐘(国宝)、鳳凰1対(国宝)など平安時代の文化財が多数残っています。

極楽浄土の宮殿をモデルにした鳳凰堂は、中堂・左右の翼廊・尾廊からなる、他に例を見ない建物です。

堂内には、平安時代を代表する仏師定朝の作であることが確実な現存唯一の仏像、本尊阿弥陀如来座像をはじめ、雲中供養菩薩像52体、9通りの来迎を画いた壁扉画など、平安時代・浄土教美術の頂点が集約されています。

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う~ん!

なんと言いますか、他のお寺さんにはない鳳凰の威風堂々たる姿が印象的です。

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藤の花の庭園もまさに見頃といったところです。



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by sinsendou | 2012-07-20 10:56 | 京都の旅①~74

中医火神派医案新選  その17

中医火神派医案新選
その17


22.寒入厥陰――当帰四逆加呉茱茰生姜湯加味/ 呉茱茰四逆湯
   楊某、女、15歳。病となって既に一年。初めは発熱嘔吐、下痢、頭痛、悪寒、発病前後から治療を受けたが効果がなかった。現在も嘔逆が止まらず腹痛硬満し、顔色赤く煩躁している。なお頭痛や悪寒、手足が冷えてこわばっている。検査以前に服用した諸方は、どれも小柴胡湯を基礎としたものに、甚だしくは三棱・我朮の攻破を加え、服用後にちょうど月経が来朝し病は更に激しさを増した。調べると脈細で絶えんばかり、舌は淡紫、これらと上述に病情を合参すると、すなわち寒が厥陰に入りその病は肝にある。肝と胆は表裏の関係で肝寒して気欝し昇らなければ、すなわちその影響は胆に及び気逆し降りず、故に嘔逆が止まらない;厥陰は風木の臓であり木欝は土に克ち、故に腹痛硬満となる。寒が陰に入ると陽は上に浮き、故に顔が赤くなる;吐瀉した後には陽気と津液は共に傷つき、心腎不交となり水火が隔離し、故に煩躁となる。厥陰外証が解けなければ頭痛・悪寒となる;肝脾不和は陰陽が四肢まで達することができず、故に手足厥冷となる。小柴胡湯はすなわち和解少陽の方で、発熱・嘔吐に惑わされそのところを誤って、太陽表証の頭痛・悪寒、陽明の下痢であったのに注意をしなかった。若し当時葛根湯を以って投じ太陽・陽明を両解していたなら、その病はもっと早く治っていた。経を越しての用薬によって邪を深く引き入れ、柴・芩などみな清瀉肝胆の品を繰り返し用いて攻撃し過ぎて、以って病情が激しさを加えた。幸いにして患者は年若く生機旺盛で正気がなお支持できるので、急ぎ当帰四逆加呉茱茰生姜湯加味を以って投与した:
  当帰12g、桂枝9g、炒杭白芍12g、炒呉茱茰6g、細辛2g、通草6g、炒小茴香6g、砂仁6g、川黄連3g、炙甘草6g、焼生姜3片、大棗3枚。方中の当帰・桂枝・杭白芍は温経活血、細辛は少陰の寒を散し、呉茱茰・生姜は散寒止嘔、炙甘草・大棗は補中生血、通草は経絡を通し関節を利する、最も善し悪しの区別があるのは“通脈続絶の効果”があり、小茴香・砂仁を加え以って理気通滞そして止痛し、黄連を少量加え“左金”の意味で呉茱茰を配し平肝と反佐とした。
  翌日来診すると、上方服用後嘔逆は全て止み四肢も温まり、顔赤・煩躁・腹痛はどれも軽くなる。続けて呉茱茰四逆湯を以って処する:
  附子60g、炒呉茱茰9g、乾姜12g、炙甘草6g。この方は本来先に用いるべきだが、そのところ用いないのは本病がすでに誤治克伐してしまっていて、厥陰の外証が解けていないばかりでなく、肝血が寒で凝結して暢運できなくなっている、故に先ず当帰四逆湯を与え温血達表し以って道案内させる。続けて呉茱茰四逆湯を用いて温中扶陽し、濁陰を駆除する。この様にして初めは邪を外に向かって一挙に引っ張りだし平にする。第二の方を服用後諸症は悉く除かれたが全身に紅斑が出現した、この病は邪が裏から表に達した証拠で、もうじき収まる時期の証しでもある。すなわち因勢利導で四逆湯を以って陽気を振奮させ、邪を外に発散駆除し遂に全て癒えた。

  評注:厥陰に寒が入って手足厥冷するとき四逆湯で治すが、では何故まず先に附子や乾姜を選ばないのか?陳平伯は次のように言っている:“元来厥陰肝臓は、営血を蔵し肝木に対応し、胆火は内に伝達して風火は同源で、もし寒邪の内患でなく一陽の生気が絶えんと欲する者には、風火が擾動するので辛熱の品を用いない。”少陽で裏寒陰盛の四肢不温と厥陰の寒邪欝滞による手足厥冷する者とは、区別があることをはっきり言っておく。本案は先ず当帰四逆加呉茱茰生姜湯を用いて中寒を除き暖めた血を表まで届ける。続けて呉茱茰四逆湯を用いて温中扶陽し、全身の紅斑出現は“病邪が裏から表へ達した”現象で驚き不思議に思うべきでなく、やはり四逆湯を用いて効果を収める。
                                     続く




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by sinsendou | 2012-07-17 14:21 | 中医火神派医案新選①~

麗しの島 台湾旅行記 193 台北駅近隣市場

台湾では、ここかしこに「素菜」のお店があります。

「素菜」とは、動物の肉を全く使用していない料理です。

以前にも紹介したことがありますが、台湾のお坊さんは肉類を一切口にしません。

しかし、見た目や味にバリエーションを付けるとか、たとえば「ハンバーグ」など、材料は植物性のタンパク質で、原料は大豆だったりしますが、味の方も「ハンバーグ」らしかったりします。


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さらに台湾には、庶民の台所を支えている市場が街中に多く点在しています。

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by sinsendou | 2012-07-14 12:18 | 麗しの島 台湾①~487

中医火神派医案新選  その16

中医火神派医案新選
その16



21.視物不明と頭痛――小白附子湯《局方》密蒙花散加防風

  曹某、女、35歳。左目が紅腫疼痛し眩しがって光を嫌がり、物が良く見えず左側に牽引頭痛したが、某医院の診断は次の通りだった。:①角膜炎を伴う急性結膜炎。②視神経委縮。治療2カ月余り好転に兆しがないため診療を受けにきた。症状:六脈は弦渋微緊、舌淡苔白、左目から左頭部にかけて牽引激痛し物が見えず、頭髪脱落して四肢倦怠と腰痛が現れている。脈と症を総合すると、外邪の侵入によって初めは表の発散が失われ、表から裏に入って肝腎両虚を兼ねるようになり、内外が相合わさって上述の症状が現れた。病が2カ月の長きにわたっているとはいえ、病邪は表から侵入したのでやはり表解から先にしなければならない。去風解表、散寒除湿を与える太陽気機を開く剤が第一歩であるので、自製方の小白附子湯を処方する:
  炙小白附子30g、明天麻9g、藁本9g、葳蕤仁9g、法半夏9g、茯苓15g、川芎6g、防風9g、独活6g、白芷6g、桂枝9g、炒杭白芍9g、焼生姜3片、甘草6g、大棗3枚。この方はすなわち天麻湯加小白附子である。方中の葳蕤仁は去風明目・滋潤等の作用がある;小白附子は天南星科多年草植物で一つ角の蓮の根塊で、善く去風痰・通経絡・逐寒湿し、最も頭面風邪を取り去り、偏頭痛及び身肢酸痛を治す。
  上方10数剤まで服すと頭痛は大きく減り、目痛もまたそれに随って緩減し四肢酸痛と腰痛は止んだ。ただ眼の充血痛は全て退いたわけでなく、なお物が良く見えない。転じて専ら目の疾患の治療に養肝去風を以ってあたり、方は《太平恵民和剤局方》の密蒙花散加防風を用いた:
  密蒙花9g、羌活6g、防風9g、刺蒺藜9g、菊花6g、木賊6g、石決明15g。この方の元々の効果は“風気に攻めを注ぎ、両眼暗く流涙羞明や瞼にできたものもらい、隠渋して開きにくく或は痒く或は痛み、徐々にそこひを生じ物が見なくなる、さらに長く患えば偏頭痛や両眼の牽引で段々と細く小さくなり、渋昏隠痛する;突然赤く腫れ痛みだす、これらをみな治す”。密蒙花は眼科の専門薬で、養肝去風、明目退翳など主に目の充血腫痛や、目やに涙目や羞明畏光、さらにそこひ等の症に;羌活・防風は去風止痛;木賊・菊花は疏散風熱と明目;刺蒺藜は平肝疏肝、去風明目。三薬を合わせ用いれば、善く目赤腫痛を治し翳膜の遮りを晴らす。石決明は平肝清熱、益陰明目で眼疾患を治す要薬であり、他の明目薬と一緒に用いるとその明目の効果でよく治る。この方の本となるのは“肝は目に開窮する”及び“肝は風を主どる”の主旨で用いて、肝気の平が得られて肝風が散れば、すなわち頭痛目痛の外症もこれに随って消散する。
  3剤服用後左目紅痛及び頭痛はほぼなくなった。治療効果を強固にするために、また小白附子湯加黄耆を用い、補気升陽と固衛達表する。数剤服した後諸症は悉く除かれたが、まだ視力が全て回復してなく脱髪もまだ生えてきていない。これは病が長期にわたっていたため体内の精気が消耗し、営血不足や肝腎両虧となっているためである。方を転じて補気益血・滋養肝腎・明目生髪の剤を用い、以下を処方した:
  党参15g、柏子仁9g、山茱茰12g、菟絲子15g、玄参9g。方中の党参は脾胃を補うことで気血を益する;心は血を主どるので、柏子仁を用いて心血を補い心神を安らかにする;腎は水を主どり精を蔵し、精気は上り目に注ぐので、菟絲子を用いて補腎益精する、《別録》ではそれを“久服明目”と称している;肝は血を蔵し血を得て視ることができるので、山茱茰を用い滋陰助陽と養血渋精する、《別録》にはそれを“久服明目強力”と称していて、山茱茰は党参と配伍すればまたよく気血を双補する。もっとも巧妙なことは玄参を以って腎に入り滋水し、以って肝木をも内包していることである。この様な組み合わせでできた方は、気血肝腎のどれも補益し目の不明を患わせず発毛不能を再生するなり。方を守り20数剤服用し病は遂に全て癒えた。

  注釈:“開門法”とは戴氏が治療したある幾つかの久病と慢性病の主要経験の一つであり、凡そ外邪によって罹った病の多くは先ずこの方を用いる。所謂“開門”とは、太陽気機の宣暢であり、またすなわち“開門逐寇 (寇…外敵)”の意味である。病邪が人体を侵犯する時は常に太陽から侵入するが、もし適当な時に解表をすればすなわち邪を留めない患いである。ただ病の日々が長くなり表裏混雑すると、“開門”を通過し経絡を通暢させ外邪を外に出し病の真の姿を現わさせるには、もう一歩用いる薬の創造が条件である。この法を用いる時にはただ病機が寒に属しさえすれば、すなわち假象に惑わされることなく、概ね辛温の宣散を以って投じ、然る後再び病情転化を根拠に融通性のある治療を施す。
                                   続く




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by sinsendou | 2012-07-11 00:12 | 中医火神派医案新選①~

京都の旅 その68

【勧修寺】

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by sinsendou | 2012-07-08 10:30 | 京都の旅①~74

中医火神派医案新選  その15

中医火神派医案新選
その15


19.左臂疼痛――麻黄加朮湯合麻杏薏甘湯加桑枝
  趙某、男、21歳。左腕疼痛が2カ月余り、かつて西洋薬の鎮痛剤及び温陽除湿剤等を用いたが効果が無かった。症状は左上肢を挙げることが困難で、比較的疼痛が激しく紅く腫れてはいない。無汗、悪寒、舌質は正常、苔薄白、脈浮緊。病となった理由を聞けば、夜寝ていて風に当たった、これは風寒湿邪が経絡を犯したこと。治法は当に去風散寒除湿であり、麻黄加朮湯合麻杏薏甘湯加桑枝を選び用いる:
  麻黄6g、桂枝9g、杏仁9g、白朮12g、生薏以仁15g、甘草6g、桑枝15g。2剤連続して服用し、僅かに汗をかいて全て癒えた。

  注釈:臂痛の一証で、ちょっとした病気といえども治法にのっとり治療しなければ遷延して治り難い。本証は中医の痺証に属し、痺の者は不通と謂われるなり。遵仲景は“若し風湿を治そうとするならその汗を発す、但しほんの僅かでも汗がでれば風湿ともに去っているなり。”麻黄加朮湯すなわち去風散寒除湿の重剤と、麻杏薏甘湯すなわち発汗利湿解表の軽剤とで、軽重合剤は善く風寒湿痺を治す。症が悪寒すなわち表陽が抑圧を被っていても、脈浮緊を知るべきでこれは少陰病の悪寒ではない、故に大辛大熱の附子は用いずただ通陽化気の桂枝を用い、衛陽を振奮させればすなわち悪寒は自ら止まる。この方中尤も巧妙なのは麻黄に白朮を配したことで、発汗すれども発汗し過ぎない、白朮は麻黄に配すと善く表裏の湿を去り、ほんの少しの汗で解表を達成でき、更に桑枝を加えて臂肢へ通絡を横達させる。処方は簡素ではあるけれどその効は霊験あらたかなり。

  20.水腫――附子桂枝独活寄生湯/ 済生腎気丸/ 右帰飲合桂附八味丸/ 白通湯・四逆湯/ 鶏鴨食補方
  郭某、男、50数歳。全身水腫が半年経過、入院治療で抽水・利尿等どれも無効で危機的病勢で、症状は顔色艶が無く額部は黄黒色、頭身やや傾いて毛髪・爪甲・皮膚・唇歯はどれも焦悴枯槁の象が現れている。目には精光無く精神倦怠息短で、少しでも動くと喘息が起こる。両脚は顕著に浮腫み腹部も鼓腸し、小便短渋。不眠、多夢、水腫の勢いは陰嚢にまで及んだ。舌苔は黄膩そして潤、脈は空で無根。“冰凍の三尺は、一日の寒に非ず”、病勢もまたここに至っては、一朝一夕になったのではない。総合して云えば、この病は五臓の虚損で精血も大虧して、神気も将に脱せんばかり。ところが幸いなことに飲食は尚できるし味も分かる。精神が困頓としてはいるが、神志はまだなお清楚である。生機はまだ絶えていないので、力を尽くして救治せねばならない。ただ五臓が共に病んでいるため、何を以って主となすのか?経に曰く:“腎は先天の本”当然腎を以って根本と為すべきだ。故にこの証の治法は、命門を峻補し元気を回復させることが必須で、その証でやっと治癒が望める。しかし長患いの人は最も風寒湿の邪を感受し易く経絡の閉塞を招くので、先ず温陽解表し経絡を疏通させ然る後、峻補命門の剤を以ってあたれば気化行水し始める。弁証を正確にして立法を定め、遂に先ず自製方の附子桂枝独活寄生湯を用いるよう決定した:
  附子60g、桂枝9g、杭白芍9g、法半夏9g、茯苓15g、川芎6g、独活6g、防風9g、桑寄生15g、陳皮6g、烏薬9g、甘草6g、生姜3片、大棗2枚。3剤服用すると全身が心地よく感じた。経絡の疏通を説明し、急ぎ利水治法を兼ねて命門を補うこととし、方は済生腎気湯を用いる:
  附子90g、熟地15g、懐山薬15g、茯苓24g、澤瀉9g、懐牛膝9g、肉桂15g、粉丹皮6g、山茱茰12g、車前子9g。
  汪昂はこの方を解説して曰く:“桂附八味丸は滋陰そしてよく行水し、脾を強めることで命門の火を補い、車前子を加えて小便を利すけれど気を逃がさず、牛膝を加えて肝腎を益することで下行する、故に水道を通し腫脹を終わらせるが、それでいて真元を損なわない。”
  喩嘉言はこの方を用いる時附子を以って君薬と為すと主張し、次のように指摘した:“腎の関門が開かない時は必ず附子を以って回陽し、腎気を蒸動させればその関門は開き始め、胃中の積水も下り始める、陽主を以って開く故なり。”この言葉は実に理にかなっている。
  余がこの病を治療する時、恐ろしく病が重いから薬が軽くてはその任に堪えることができない、故に上方の大剤を作って施した。初め数剤を服したが病は少しも動かないので、同じ方を27剤まで服用させた、時には方中に赤石脂60gを加え以って補土の力を強化した。ここに至って漸く小便が出始め、腫れもまた消え始めた。しかし五臓は相変わらず虚となっているので、肝血を補い且つ腎も補う景岳右帰飲合桂附地黄丸加減を用いる:
附子60g、熟地30g、懐山薬21g、山茱茰12g、澤瀉9g、肉桂15g、杜仲30g、土炒当帰15g、枸杞子15g、小茴香6g、茯苓15g、炙甘草3g、赤石脂60g。方中で附子・肉桂は温補腎陽、熟地・山茱茰・山薬は補陰、陽を回復させることができるかは附子に依存している;そして熟地・山茱茰・山薬の補陰に桂・附の助陽が加わると、腎気の蒸騰ができ腎陽を旺盛にさせる;なお茯苓・澤瀉を用いて水湿を滲利し補中に瀉がある;杜仲・枸杞子を用いて腰腎を強化し、当帰は肝血を補い赤石脂・小茴香で健脾利気する。20数剤まで服用し小便が比較的長くなり、腫勢は大きく消えた。ただ毎日午後になると腫脹を繰り返すが、これは陽が回復したといってもまだ陰を抑制するには不足だからである。方を改め白通湯・四逆湯の各数剤を以って後、午後の腫脹はコントロールすることができた。再び理中湯で脾陽を暖め、中寒を去るとこれで腫勢は全て消え、息も正常になった。しかし患者は柴の様に痩せこけて羸弱に堪えられず心悸と不眠し、脈は蜘蛛の糸のようで足が地に着かない。これは長患いの後で真陰が枯渇して痿証に転じてしまった。応本に“損なわれた者は之を益する”、“精が不足する者は、味を以って之を補う”の主旨があり、血肉有情の品を用いて服食し、処方は:
枸杞子30g、海参30g、猪蹄筋60g、老肥鴨1羽、老母鶏1羽。材料を揃えたら混ぜ合わせて弱火でゆっくりと煮込み、その汁を一日数回少しずつ飲む。方中の老鴨は最もよく滋陰し、虚労の聖薬である;老母鶏は虚損を治し、養血補気に長ける;猪蹄筋は填精補髄する;海参・枸杞子は滋陰益精する。5剤服用すると独りで立ち上がり歩くことができるようになり、肉付きも漸く充実し毛髪爪甲も潤沢に転じ、すでに心悸不眠は無くなり食欲増進し、病情は次第に好転し健康を回復した。

評注:この証は虚損水腫で五臓がそろって病み、病情が複雑かつ重症で、戴氏は扶陽開表してその表邪を除き、次に済生腎気丸を与えて温陽利水し去湿に着眼した;その後右帰飲合桂附八味丸を以って陰陽併補し、補虚に重点をおいた;再び白通・四逆を与え専ら扶陽し、最後に食療の補食を以って成功した、一歩ずつ処方を換えて順序良く整然とすすめ、終にはこの重証から始まりかなりの効果を挙げた。
                                        続く




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by sinsendou | 2012-07-05 00:39 | 中医火神派医案新選①~

麗しの島 台湾旅行記 192 【吉星港式飲茶】その4

【吉星港式飲茶】その4

海老シューマイ
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大根もち
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やっと締めのデザートがやってきました。
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中はこのようになっています。
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満腹・満腹!

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by sinsendou | 2012-07-02 00:09 | 麗しの島 台湾①~487



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