中医火神派医案新選 その349
10.不眠――四逆湯加肉桂
姚某、女、40歳。
繰り返す不眠が20数年、特にここ10日間は酷い。
患者は12歳の時に10数日間発熱、続いて便秘し輸液治療を経て解熱したのち不眠が出現し、出たり治ったりしていた。
今回は、夜勤3交代シフトのため10数日の不眠が出現した。
夜通し寝ることができず、寝ぼけて思い乱れイライラしたりびくびくすることが付随した。
頭重、両足は手よりも冷たい。
大便稀溏で消化不良、毎日早朝の4時頃トイレに行く。
多くはないが白い粘る痰があるが呼吸はできる。
夜寝るとき両足がなかなか暖まらず、顔が紅く自分でも熱を自覚する。
口が乾いて水分を欲するが飲む量は多くはない。
体は太っているが弱弱しく、腹部は力なく軟らかい、黄耆体質の外観。
夏には黄色い汗をかきやすく、特に顔面からの汗が出やすい。
舌淡胖、苔水滑、脈寸浮、関中取でやや弦、尺脈沈弱。