免疫 その176
免疫反応を根底から破壊するウィルス その4
なぜなら、ウィルスは取りついた宿主の細胞の中でしか生きることができないので、宿主を殺してしまえばエイズウィルス自身も増えるチャンスを失うからです。
ですから、何年も宿主を殺さない状態(無症状状態)を保ちながら、じわじわと増えつつ、その間に性交渉などを介して次の宿主に伝播させるのです。
この極悪非道なウィルスに対するワクチンやさまざまな薬物が開発されてはいるものの、いまだに特効薬と呼べるものはありません。
それは、ウィルスが自身のタンパク質をめまぐるしく変化させて変身し、抗体や薬剤からまぬがれるからです。
タンパク質の設計図を遺伝子といいますが、エイズウィルスは遺伝子をめまぐるしく変化させ、タンパク質の形を変えていきます。
そのスピードに私たちの免疫担当細胞や薬の開発が追いついていかないのです。
人類がこのウィルスを克服する日はいつになることでしょうか。