免疫 その168
ガン細胞と免疫のせめぎ合い その3
赤ちゃんがお母さんのおなかの中で拒絶されない仕組みを覚えていますか?
おなかの中の赤ちゃんの細胞は、お母さんにとって非自己となる成分を細胞表面から隠してしまったり、お母さんの免疫担当細胞の働きを邪魔する物質を放出することで、免疫担当細胞から攻撃をかわすのでした。
ずる賢いがん細胞は、まさに胎児のまねをして免疫担当細胞の攻撃をかわしています。
がん細胞が作る異常なタンパク質は、ウィルスの場合と同じように、クラスⅠMHC分子にはまりこんで顔を出して、やがてキラーT細胞に捕まえられるのですが、がん細胞はクラスⅠMHC分子そのものを細胞表面から隠してしまうことでキラーT細胞の攻撃から逃れてしまうのです。
また、がん細胞は免疫担当細胞の働きを邪魔する物質を放出して、免疫の攻撃をかわすのです。