中医火神派医案新選 その２４４

中医火神派医案新選　その２４４

　7．喘証――四逆散合苓桂朮甘湯加檀香

　某男、6歳。

　その母が代わりに言うには：肺炎を患い某医院に入院し、抗感染・解熱剤を点滴治療して、一週間後体温は下がり咳嗽も減ったが、汗が出て止まらず、且つ胸悶して気が塞いだので退院させてもらい、翌日こうして診察を受けにきた。

　患者を診ると顔色晄白、唇が薄紫、胸悶・気促して呼吸困難(息を吸う時に極めて力が必要)、手を胸に当てながらしきりに呼吸が苦しそうである。

　精神倦怠、何度も咳をしてそのたびに汗が出る、手足は涼感、体温35.6℃。

　脈沈緩無力、舌暗淡苔白膩。

　診断は水湿上泛と痰飲犯肺で、苓桂朮甘湯加法半夏・枳殻・菖蒲を以ってこれを治療する。

　二診：上方1剤服用後咳嗽は軽減し、吐く痰涎は比較的多くなったが、ただ息の詰まり・呼吸困難等はまだ減っていない。

　脈沈弱、舌淡青、白膩苔は既にない。

　これは胸陽不振と心肺陽虚なので、当に心肺の陽を温扶し理気利胸する、四逆湯合苓桂朮甘湯加檀香を以ってこれを治療する：

　附子30g(先煎3時間)、乾姜6g、茯苓10g、白朮10g、檀香6g(別包に後下)、甘草5g。

　1剤服用後呼吸は漸く順調になり、再び苦しくなることはなく各症も緩解した。

　2剤の後呼吸は正常となり、汗ももう出ることはなく諸症はいずれも癒えた。

　評注：患者は肺炎の輸液に因り陽気が受損して水飲が内停した；また汗のかき過ぎによって陽気を消耗し、心陽不足に至り胸悶し気が塞ぎ、まるで胸がどんより曇ったようだ。初診は温化水飲と陽不足を助けたが、気の塞ぎと呼吸困難等の証が減らない。二診は胸陽不振と心肺陽虚の病機をまとめて四逆湯加味で以って施し、当に空から日の光が照らすように陰霧は散って、効果を上げることができた。二診の方剤には桂枝の加入が必要で、以って心陽が奮い立つ。
















いまこの一瞬にも、すべての方に幸せが訪れています。

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