中医火神派医案新選 その９６

中医火神派医案新選　その９６

　9．類中風――真武湯/黒錫丹

　鄧女、50歳。

　嫁のために苦労を重ね、知らぬ間に類中風を患い顔面は青黒く、痰や涎が次から次へと湧きだして、口からほとばしって流れてたちまち鉢から溢れ、手足は痺れて精神状態は恍惚となり体中から汗が出て、某老医は人参・黄耆・当帰・地黄等の薬を用いたが、病は日毎に激しさが増した。

　余がこれを診察すると、脈浮大そして緩でこれを按じても無力なので、次の様に云った：病は陰寒大症に関わり、大量の乾姜・烏頭・附子の辛熱の品でなければ救うことはできない。

　現れている各症は空に雲が甚だ大きくたれ込めていて、まさに陽光が消えんばかりのとき、若し当帰・地黄等の薬を服用させると、水を以って水を助ける様なものだ；即ち人参・黄耆もまた用いることはできないし、その柔潤多液に因って悪者を助けて悪事の手伝いを免れないことは難しい；故に仲師の回陽方中、その陰証であるためにどの覆い守るものも除いて使わない。

　即ち真武湯を用い、昼夜を問わずに頻繁に多く服用させれば、或はよい兆しがあるはずである。




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