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中医火神派医案新選  その16

中医火神派医案新選
その16



21.視物不明と頭痛――小白附子湯《局方》密蒙花散加防風

  曹某、女、35歳。左目が紅腫疼痛し眩しがって光を嫌がり、物が良く見えず左側に牽引頭痛したが、某医院の診断は次の通りだった。:①角膜炎を伴う急性結膜炎。②視神経委縮。治療2カ月余り好転に兆しがないため診療を受けにきた。症状:六脈は弦渋微緊、舌淡苔白、左目から左頭部にかけて牽引激痛し物が見えず、頭髪脱落して四肢倦怠と腰痛が現れている。脈と症を総合すると、外邪の侵入によって初めは表の発散が失われ、表から裏に入って肝腎両虚を兼ねるようになり、内外が相合わさって上述の症状が現れた。病が2カ月の長きにわたっているとはいえ、病邪は表から侵入したのでやはり表解から先にしなければならない。去風解表、散寒除湿を与える太陽気機を開く剤が第一歩であるので、自製方の小白附子湯を処方する:
  炙小白附子30g、明天麻9g、藁本9g、葳蕤仁9g、法半夏9g、茯苓15g、川芎6g、防風9g、独活6g、白芷6g、桂枝9g、炒杭白芍9g、焼生姜3片、甘草6g、大棗3枚。この方はすなわち天麻湯加小白附子である。方中の葳蕤仁は去風明目・滋潤等の作用がある;小白附子は天南星科多年草植物で一つ角の蓮の根塊で、善く去風痰・通経絡・逐寒湿し、最も頭面風邪を取り去り、偏頭痛及び身肢酸痛を治す。
  上方10数剤まで服すと頭痛は大きく減り、目痛もまたそれに随って緩減し四肢酸痛と腰痛は止んだ。ただ眼の充血痛は全て退いたわけでなく、なお物が良く見えない。転じて専ら目の疾患の治療に養肝去風を以ってあたり、方は《太平恵民和剤局方》の密蒙花散加防風を用いた:
  密蒙花9g、羌活6g、防風9g、刺蒺藜9g、菊花6g、木賊6g、石決明15g。この方の元々の効果は“風気に攻めを注ぎ、両眼暗く流涙羞明や瞼にできたものもらい、隠渋して開きにくく或は痒く或は痛み、徐々にそこひを生じ物が見なくなる、さらに長く患えば偏頭痛や両眼の牽引で段々と細く小さくなり、渋昏隠痛する;突然赤く腫れ痛みだす、これらをみな治す”。密蒙花は眼科の専門薬で、養肝去風、明目退翳など主に目の充血腫痛や、目やに涙目や羞明畏光、さらにそこひ等の症に;羌活・防風は去風止痛;木賊・菊花は疏散風熱と明目;刺蒺藜は平肝疏肝、去風明目。三薬を合わせ用いれば、善く目赤腫痛を治し翳膜の遮りを晴らす。石決明は平肝清熱、益陰明目で眼疾患を治す要薬であり、他の明目薬と一緒に用いるとその明目の効果でよく治る。この方の本となるのは“肝は目に開窮する”及び“肝は風を主どる”の主旨で用いて、肝気の平が得られて肝風が散れば、すなわち頭痛目痛の外症もこれに随って消散する。
  3剤服用後左目紅痛及び頭痛はほぼなくなった。治療効果を強固にするために、また小白附子湯加黄耆を用い、補気升陽と固衛達表する。数剤服した後諸症は悉く除かれたが、まだ視力が全て回復してなく脱髪もまだ生えてきていない。これは病が長期にわたっていたため体内の精気が消耗し、営血不足や肝腎両虧となっているためである。方を転じて補気益血・滋養肝腎・明目生髪の剤を用い、以下を処方した:
  党参15g、柏子仁9g、山茱茰12g、菟絲子15g、玄参9g。方中の党参は脾胃を補うことで気血を益する;心は血を主どるので、柏子仁を用いて心血を補い心神を安らかにする;腎は水を主どり精を蔵し、精気は上り目に注ぐので、菟絲子を用いて補腎益精する、《別録》ではそれを“久服明目”と称している;肝は血を蔵し血を得て視ることができるので、山茱茰を用い滋陰助陽と養血渋精する、《別録》にはそれを“久服明目強力”と称していて、山茱茰は党参と配伍すればまたよく気血を双補する。もっとも巧妙なことは玄参を以って腎に入り滋水し、以って肝木をも内包していることである。この様な組み合わせでできた方は、気血肝腎のどれも補益し目の不明を患わせず発毛不能を再生するなり。方を守り20数剤服用し病は遂に全て癒えた。

  注釈:“開門法”とは戴氏が治療したある幾つかの久病と慢性病の主要経験の一つであり、凡そ外邪によって罹った病の多くは先ずこの方を用いる。所謂“開門”とは、太陽気機の宣暢であり、またすなわち“開門逐寇 (寇…外敵)”の意味である。病邪が人体を侵犯する時は常に太陽から侵入するが、もし適当な時に解表をすればすなわち邪を留めない患いである。ただ病の日々が長くなり表裏混雑すると、“開門”を通過し経絡を通暢させ外邪を外に出し病の真の姿を現わさせるには、もう一歩用いる薬の創造が条件である。この法を用いる時にはただ病機が寒に属しさえすれば、すなわち假象に惑わされることなく、概ね辛温の宣散を以って投じ、然る後再び病情転化を根拠に融通性のある治療を施す。
                                   続く




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by sinsendou | 2012-07-11 00:12 | 中医火神派医案新選①~
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