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中医火神派医案新選  その15

中医火神派医案新選
その15


19.左臂疼痛――麻黄加朮湯合麻杏薏甘湯加桑枝
  趙某、男、21歳。左腕疼痛が2カ月余り、かつて西洋薬の鎮痛剤及び温陽除湿剤等を用いたが効果が無かった。症状は左上肢を挙げることが困難で、比較的疼痛が激しく紅く腫れてはいない。無汗、悪寒、舌質は正常、苔薄白、脈浮緊。病となった理由を聞けば、夜寝ていて風に当たった、これは風寒湿邪が経絡を犯したこと。治法は当に去風散寒除湿であり、麻黄加朮湯合麻杏薏甘湯加桑枝を選び用いる:
  麻黄6g、桂枝9g、杏仁9g、白朮12g、生薏以仁15g、甘草6g、桑枝15g。2剤連続して服用し、僅かに汗をかいて全て癒えた。

  注釈:臂痛の一証で、ちょっとした病気といえども治法にのっとり治療しなければ遷延して治り難い。本証は中医の痺証に属し、痺の者は不通と謂われるなり。遵仲景は“若し風湿を治そうとするならその汗を発す、但しほんの僅かでも汗がでれば風湿ともに去っているなり。”麻黄加朮湯すなわち去風散寒除湿の重剤と、麻杏薏甘湯すなわち発汗利湿解表の軽剤とで、軽重合剤は善く風寒湿痺を治す。症が悪寒すなわち表陽が抑圧を被っていても、脈浮緊を知るべきでこれは少陰病の悪寒ではない、故に大辛大熱の附子は用いずただ通陽化気の桂枝を用い、衛陽を振奮させればすなわち悪寒は自ら止まる。この方中尤も巧妙なのは麻黄に白朮を配したことで、発汗すれども発汗し過ぎない、白朮は麻黄に配すと善く表裏の湿を去り、ほんの少しの汗で解表を達成でき、更に桑枝を加えて臂肢へ通絡を横達させる。処方は簡素ではあるけれどその効は霊験あらたかなり。

  20.水腫――附子桂枝独活寄生湯/ 済生腎気丸/ 右帰飲合桂附八味丸/ 白通湯・四逆湯/ 鶏鴨食補方
  郭某、男、50数歳。全身水腫が半年経過、入院治療で抽水・利尿等どれも無効で危機的病勢で、症状は顔色艶が無く額部は黄黒色、頭身やや傾いて毛髪・爪甲・皮膚・唇歯はどれも焦悴枯槁の象が現れている。目には精光無く精神倦怠息短で、少しでも動くと喘息が起こる。両脚は顕著に浮腫み腹部も鼓腸し、小便短渋。不眠、多夢、水腫の勢いは陰嚢にまで及んだ。舌苔は黄膩そして潤、脈は空で無根。“冰凍の三尺は、一日の寒に非ず”、病勢もまたここに至っては、一朝一夕になったのではない。総合して云えば、この病は五臓の虚損で精血も大虧して、神気も将に脱せんばかり。ところが幸いなことに飲食は尚できるし味も分かる。精神が困頓としてはいるが、神志はまだなお清楚である。生機はまだ絶えていないので、力を尽くして救治せねばならない。ただ五臓が共に病んでいるため、何を以って主となすのか?経に曰く:“腎は先天の本”当然腎を以って根本と為すべきだ。故にこの証の治法は、命門を峻補し元気を回復させることが必須で、その証でやっと治癒が望める。しかし長患いの人は最も風寒湿の邪を感受し易く経絡の閉塞を招くので、先ず温陽解表し経絡を疏通させ然る後、峻補命門の剤を以ってあたれば気化行水し始める。弁証を正確にして立法を定め、遂に先ず自製方の附子桂枝独活寄生湯を用いるよう決定した:
  附子60g、桂枝9g、杭白芍9g、法半夏9g、茯苓15g、川芎6g、独活6g、防風9g、桑寄生15g、陳皮6g、烏薬9g、甘草6g、生姜3片、大棗2枚。3剤服用すると全身が心地よく感じた。経絡の疏通を説明し、急ぎ利水治法を兼ねて命門を補うこととし、方は済生腎気湯を用いる:
  附子90g、熟地15g、懐山薬15g、茯苓24g、澤瀉9g、懐牛膝9g、肉桂15g、粉丹皮6g、山茱茰12g、車前子9g。
  汪昂はこの方を解説して曰く:“桂附八味丸は滋陰そしてよく行水し、脾を強めることで命門の火を補い、車前子を加えて小便を利すけれど気を逃がさず、牛膝を加えて肝腎を益することで下行する、故に水道を通し腫脹を終わらせるが、それでいて真元を損なわない。”
  喩嘉言はこの方を用いる時附子を以って君薬と為すと主張し、次のように指摘した:“腎の関門が開かない時は必ず附子を以って回陽し、腎気を蒸動させればその関門は開き始め、胃中の積水も下り始める、陽主を以って開く故なり。”この言葉は実に理にかなっている。
  余がこの病を治療する時、恐ろしく病が重いから薬が軽くてはその任に堪えることができない、故に上方の大剤を作って施した。初め数剤を服したが病は少しも動かないので、同じ方を27剤まで服用させた、時には方中に赤石脂60gを加え以って補土の力を強化した。ここに至って漸く小便が出始め、腫れもまた消え始めた。しかし五臓は相変わらず虚となっているので、肝血を補い且つ腎も補う景岳右帰飲合桂附地黄丸加減を用いる:
附子60g、熟地30g、懐山薬21g、山茱茰12g、澤瀉9g、肉桂15g、杜仲30g、土炒当帰15g、枸杞子15g、小茴香6g、茯苓15g、炙甘草3g、赤石脂60g。方中で附子・肉桂は温補腎陽、熟地・山茱茰・山薬は補陰、陽を回復させることができるかは附子に依存している;そして熟地・山茱茰・山薬の補陰に桂・附の助陽が加わると、腎気の蒸騰ができ腎陽を旺盛にさせる;なお茯苓・澤瀉を用いて水湿を滲利し補中に瀉がある;杜仲・枸杞子を用いて腰腎を強化し、当帰は肝血を補い赤石脂・小茴香で健脾利気する。20数剤まで服用し小便が比較的長くなり、腫勢は大きく消えた。ただ毎日午後になると腫脹を繰り返すが、これは陽が回復したといってもまだ陰を抑制するには不足だからである。方を改め白通湯・四逆湯の各数剤を以って後、午後の腫脹はコントロールすることができた。再び理中湯で脾陽を暖め、中寒を去るとこれで腫勢は全て消え、息も正常になった。しかし患者は柴の様に痩せこけて羸弱に堪えられず心悸と不眠し、脈は蜘蛛の糸のようで足が地に着かない。これは長患いの後で真陰が枯渇して痿証に転じてしまった。応本に“損なわれた者は之を益する”、“精が不足する者は、味を以って之を補う”の主旨があり、血肉有情の品を用いて服食し、処方は:
枸杞子30g、海参30g、猪蹄筋60g、老肥鴨1羽、老母鶏1羽。材料を揃えたら混ぜ合わせて弱火でゆっくりと煮込み、その汁を一日数回少しずつ飲む。方中の老鴨は最もよく滋陰し、虚労の聖薬である;老母鶏は虚損を治し、養血補気に長ける;猪蹄筋は填精補髄する;海参・枸杞子は滋陰益精する。5剤服用すると独りで立ち上がり歩くことができるようになり、肉付きも漸く充実し毛髪爪甲も潤沢に転じ、すでに心悸不眠は無くなり食欲増進し、病情は次第に好転し健康を回復した。

評注:この証は虚損水腫で五臓がそろって病み、病情が複雑かつ重症で、戴氏は扶陽開表してその表邪を除き、次に済生腎気丸を与えて温陽利水し去湿に着眼した;その後右帰飲合桂附八味丸を以って陰陽併補し、補虚に重点をおいた;再び白通・四逆を与え専ら扶陽し、最後に食療の補食を以って成功した、一歩ずつ処方を換えて順序良く整然とすすめ、終にはこの重証から始まりかなりの効果を挙げた。
                                        続く




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by sinsendou | 2012-07-05 00:39 | 中医火神派医案新選①~
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