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中医火神派医案新選 その10

中医火神派医案新選
その10


9.失血――乾姜附子湯
  呉某、男、74歳。頭頂部外傷の流血過多によって某医院に緊急入院し、傷口の冷水洗浄後混迷状態に陥り、悪寒戦慄が止まらず戴氏に治療を求めた。現症状は、うずくまり出血は止まったといえども目を瞑って一言も発しない。傷口を診ると当に頂頭部位である。舌淡青滑、脈沈。証は陰寒重症に属する。急いで峻扶元陽を用いながら陰寒を駆散させ、血脈を温暖することで治となし、方は大容量の乾姜附子湯を用いる:
  附子120g、乾姜30g。急いで2剤煎じて服用させる。1剤服用後悪寒戦慄は止んだ。もう1剤服用させると意識は清明に転じた。患者は年老いて衰弱し元陽の本が虚となっているため多量でしかも連続服用でなければ十分な効果を得ることができない。続いて附子湯・四逆湯を以って十数日調理し、漸く当初の平常に戻った。

  注釈:頂頭は督脈と厥陰肝経の会合の場所、督脈は陽脈の海で寒気の侵入で陽気は抑圧される、故に悪寒戦慄を発する。厥陰はすなわち多気少血の経で、流血過多で気は血に随って散じてしまいそこへ寒気が侵入したため、陽気は疲弊し心竅が通じないため混迷が現れた。治療の鍵は峻扶元陽にあり、全身の気機を奮い立たせることで、故に大剤量の乾姜附子湯を用いた。附子は下焦の元陽を温め、乾姜は中土の生気を培う。集中した薬の力は大きく、量多くして効果を速める、火神の風格が顕われている。

  10.心悸――附子甘草湯/ 補坎益離湯/ 潜陽湯
  呂某、男、77歳。素性は勤勉だが苦労し高齢になっても持ち家の仕事に追われていた。最近2カ月ほど徐々に心悸・気短を感じ、日増しに重くなってきた。小便は頻数でたびたびの治療も無効だった。診察するとその脈は代、舌は白滑。患者が告げるには“どの医者も私の病は陽虚に関係しているという、ただ扶陽の方中にもし肉桂が加えられたら、反って心悸が更に甚だしく感じる、知らないのは何故?”余は云う“扶養は乾姜・附子・桂枝から離れられない、但し附子は乾姜なければ不熱で桂枝なければ不燥だが、扶養の方中に桂枝を加えればその燥性は増大し、純陽は剛烈となって興奮し過ぎる、故に受け入れられない。しかしもし適切に調剤すれば即ち心配ない。”
  現在の諸症は顕かに心腎陽虚に関係し、中陽不足で元気が収納できなくなった。心陽虚は陽が神を蔵せないため心悸・気短となり、腎は五液を主どるので腎陽が虚衰すれば元気が収納できず、上は陰液を統摂できず涙や鼻水が流れ出ることとなり、下は膀胱の約束ができず小便頻数となる。かつ心腎の陽は相通じ相互に影響しあい、腎の陽衰は心陽不足を引き起こし、心陽不足はまた腎陽にまで及んで傷つける。故に腎陽虚の者は心陽が虚し易く、心陽虚の者は腎陽不足を多く感じる。然れども其の相互交通の作用は、全て頼りこれを斡旋しているのは中気であり、これを鄭欽安は次のように述べている:“中気は上下を調和する枢機なり。”この証の治法は、運中を以って補陽し助陽を以って補中するが宜しく、先天後天同時に両方のことを考える。但し用いる薬は剛柔互いに助け合わねばならず、病情に適して、遂に鄭欽安の附子甘草湯を以って処理をする:
  附子60g、炙甘草9g。方中附子の辛熱は先天の心腎の陽を補い、その性は剛烈;甘草は味甘で後天の脾土を専ら補い、その性は和緩。甘草と附子は相互に作用しあい剛烈の性を緩和できる。同時に脾は先天の真陽を巡らせることができ、中気が癒えて旺盛になれば先天の心腎の陽も交通できる、これは先天後天両方の補剤なり。
  上方3剤連続して服用させると症情は好転した。さらに補中作用を強化し心気の補いを兼ねるべきである。原方に高麗参を6gから15gまで加えて3剤服用すると、諸症は大幅に減じ快適・安静になった。これで心腎の陽は回復したがさらに強固を図るため須らく陰陽両方の都合を考え、本《内経》“陰平陽秘なれば、精神すなわち治る”の旨で、鄭欽安の補坎益離湯と潜陽丹を加味して改方する:
  第一方、補坎益離湯:附子60g、桂心9g、蛤粉15g、炙甘草6g、生姜15g。
  第二方、潜陽丹:附子60g、鼈甲15g、砂仁6g、桂心9g、炙甘草9g、高麗参9g。
  補坎益離湯は附・桂を用いて心腎の陽を補い、蛤粉は腎陰を補いながら下焦を開き水津を上潮させ、姜・草は中を潤し最もよく上下を交通させる。附・桂を一緒に用いるといっても蛤粉の補陰の助けがあり、甘草の甘による緩を以って剛烈の性が大幅に減るだけでなく、水火が互いに助け合い心悸は自ずと起きなくなる。
  潜陽丹の中の鼈甲は潜陽滋陰し、附・桂は心腎の陽を補い、高麗参を加えて元気を補益する、また砂仁・甘草を得て理気調中し、上下の気機を交通させるので水火を平に調節する。
  上方を各2剤ずつ服用後、諸症は消失し精神も以前と比べてしっかりした。

  評注:この証は心腎陽虚で肉桂の燥に耐えられず、附子甘草湯を選用して回避できた、十分な用意が円満に行き届くという巧みさである。三方を用いたのはみな鄭欽安の定めたところで、この老師は火神派学説を用いて深い成果をあげている。

                                  続く

by sinsendou | 2012-06-05 00:17 | 中医火神派医案新選①~
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