中医火神派医案新選 その262
中医火神派医案新選 その262
14.亡陽(大汗腺癌術後ショック)――大回陽飲加半夏 某女、68歳、大汗腺癌を患って1996年6月に雲南省腫瘤病院に入院した。 手術前に家族には次のように告知された:大汗腺癌の予後には差があるが、冠心病を20数年も患っているので、手術には大変危険が伴う。手術中心拍数は徐々に38回/分まで下がり、血圧は測定できずに手術は終わった。 病室に搬送途中に嘔吐が発生し、同時に心前区の胸苦しさを訴えた。 顔色は蒼白で四肢は冷え、胸悶心痛した。 心拍数42回/分、血圧48/20mgHg、脈はいまにも絶えんばかりで、大粒の汗がこぼれおち、精神は虚ろで時々昏迷もした。 病院はもう一度危篤通知を出して、遂に顧氏に治療を要請した。 弁証は亡陽の危険な症状で、急ぎ回陽救逆せねばならず、すぐに手配する: 附子100g(先に煎じる)、肉桂10g、法半夏15g、甘草6g。 少しずつ連続して服用させ、約30分すると薄眼を開け、唇が作り笑いの様に動いた。 又30分ほど過ぎ、顔色は薄紅がさして四肢も温かくなって、血圧は上昇、心拍数も58回.になった。 1剤服用し終わると各症状は改善。 翌日も1剤服用させ、附子は120gまで増量し生姜は乾姜に変えると、ようやく元気が出て午後には起き上がることができた。 続けて茯苓四逆湯加味を以って善処した。 評注:本例の大汗腺癌手術後の心力衰弱は、ほんの僅かの陽しか残っておらず今にも絶えんばかりで、顧氏は正にこの火神派の祖である呉佩衡がかつて用いた大回陽飲加法半夏を使い、亡陽欲脱を治療して終には生機を挽回した、それは確かに中医が危重症の救治に成功した範例である。 いまこの一瞬にも、すべての方に幸せが訪れています。 素晴らしい人生のひと時をお過ごしください。
by sinsendou
| 2016-12-26 00:00
| 中医火神派医案新選①~
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