人気ブログランキング | 話題のタグを見る

いきいき元気! 感謝!

中医火神派医案新選  その54

中医火神派医案新選
その54


  2.慢驚風――四逆湯合六君子湯
  楊某、男、3才、昆明市に住在。病は半月ほどになるが、発熱咳嗽から始まり嘔吐と腹瀉し、中西薬を服用して発熱は漸く退いたものの腹瀉は止まらず、嘔吐も以前と変わらず頻繁である。また清涼退熱剤を使用したために反ってひきつけをしばらく起こした。意識混迷や引きつけが3日も長引いて、顔色や手足の爪は青暗く、指紋は紺となって三関を透過した。かつ自汗や便溏、嘔逆と手足厥冷。舌淡苔白、脈細微。これは発熱後脾胃虚弱なところに寒涼を服させたため、中陽を傷つけ慢性驚風の証となった、急いで下方を量る:
  川附子9g(温湯で先に煎じる)、焦白朮9g、茯苓9g、党参9g、法半夏9g、広陳皮3g、西砂仁3g(冲)、生甘草2.1g、川乾姜4.5g、炒老米6g。1剤服用後意識混迷は未だ全く蘇らず、引きつけはなお続いたが脈はやや起きだして、飲食も少しはできたが泣き声には元気がない。これは脾胃の陽虚で驚風がまだ平穏になっていない、原方に加減して:
  川附子9g(温湯で先に煎じる)、川乾姜4.5g、党参9g、焦白朮9g、茯苓9g、炒呉茱茰1.5g、西砂仁3g、鈎藤2.4g、生甘草3g、炒老米6g、焼鶏内金1個。この方を2剤服すと意識はすっかり戻りひきつけや吐瀉はみな止まった。手足は温まり顔色も潤いがでて、爪や唇の青暗さも消え泣き声も元気が出てきた。指紋は淡紅で風関まで退き、舌も潤い脈は順調となった。これは驚風が平穏になり中陽も漸く回復した。まだなお気虚脾弱なので続けて温暖が宜しく調理する:
  党参9g、焦白朮9g、茯苓9g、西砂仁3g、川乾姜4.5g、炒杭白芍3g、生甘草3g、大棗2枚、炒玉米・老米各6g、川附子9g(温湯で先に煎じる)。連続5剤服用し全快した。

  注釈:発熱嘔瀉に誤って涼抑を進めたため脾虚気弱となり、陰寒が散じ難くなった。心陽は不振で神明不安となり、筋脈は濡養されず遂には引きつけを起こした。《内経》には、“陽気は天と日のごとくで、それが失われれば若死や明らかでないなど、故に天は当に日の光明とともに巡る”とある。加味理中を投じて温寒健運し、陰霧を散じれば当に日が空を照らすがごとくに病は癒える。

  3.慢驚風――逐寒蕩驚湯加味/ 桂附理中湯加味
  金某、男、3歳、昆明市の子。泄瀉が十日余り、色は黄緑で質は稀溏、一日に7~8回。嘔吐して食べられず時に自汗あり。参例苓白朮散等の方剤を服用するが無効。さらに口唇は青ざめて四肢厥冷、附子理中湯を服用したが病勢は依然として変わらず、結局ほとんど危なくなったので抱かれて来診:顔面及び口唇は蒼白で意識混迷、四肢は冷たく時折引きつけを起こした。口からは白沫を流し下痢が止まらない。舌淡苔白、脈象沈微、指紋は隠れている。これは吐瀉の病が長引き脾陽が絶えんばかりとなり、虚寒極まって厥逆生風の状態で、急ぎ逐寒蕩驚湯加味を用い挽回策を講じて救済する、処方は:
  肉桂4.5g(お湯に溶かして服用)、公丁香3g、白胡椒1.5g(冲)、川乾姜6g、川附子6g(温湯で先に煎じる)、蓽澄茄3g、炙呉茱茰3g、灶心土1塊(焼き紅くしてお湯につける)。この方2剤服用し引きつけは漸く治まり嘔吐も減少した。下痢はまだ止まらず顔色も蒼白で、四肢もまだ温たかくないし意識混迷嗜睡しているが、脈はやや起き出した。これは裏寒がやや変化してきてはいるが、永い泄瀉で中虚となり真陽が不足している、よって前方を加減して:
  肉桂4.5g(お湯に溶かして服用)、公丁香2.4g、川附子9g(温湯で先に煎じる)、川乾姜6g、西砂仁3g(冲)、炒老米9g、生甘草1.5g、白胡椒1.5g(冲)、焼大棗2枚。2剤服用後引きつけは止まり嘔瀉も軽減し、四肢は温まり意識も漸くはっきりして泣き声を発した。小量の飲食を取ることができたが顔色は依然として蒼白。舌淡紅、脈象は前と比べて有力、指紋もはっきり表れて色は淡青。これは真陽が漸く回復したが脾虚で中は弱い、続けて温固を以って調理:
  紅人参4.5g(弱火で良く煮込み分けて服用)、炒白朮6g、肉桂3g(お湯に溶かして服用)、雲茯神6g、川附子9g(温湯で先に煎じる)、西砂仁3g(冲)、川乾姜6g、生甘草3g、大棗2枚を2剤。
  四診:症状は大きく好転して吐瀉は止まり、四肢も温かくなった。食は増し顔色は紅潤。舌粉紅、苔薄、脈象も調和していた。再び下方を以って調理:
  党参6g、炒白朮9g、炙甘草3g、川附子(お湯に溶かして服用)、広陳皮3g、川乾姜6g、西砂仁3g(冲)、大棗2枚、炒玉米・老米各6g。

  注釈:臓腑の陰寒が極まって驚抽厥逆したので、加味逐寒蕩驚湯を投与。この方は肉桂・丁香・胡椒・附子・乾姜・呉茱茰等の温熱峻品をいくつも用い、素早く臓腑に立ちこめた陰寒を駆除し蕩驚回陽する。患者は服用後漸く陰寒を散じ、脾陽はまた蘇り驚風が平定され、“寒者はこれを熱する”の治療大法を具体的に表現した。
                                   続く



下記のインタレストマッチ広告は当ブログとは何の関係もございません。
by sinsendou | 2013-03-18 18:20 | 中医火神派医案新選①~
<< 麗しの島 台湾旅行記 215「... 中医火神派医案新選  その53 >>



「抗老化」いつまでも若くありたい。それを実現する漢方薬が「鹿茸大補湯」です。   毎週日曜日を定休日とさせていただきます。

by sinsendou
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
神仙堂薬局 リンク集
カテゴリ
全体
今注目の話題
漢方
お客様のお喜びの声
季節の養生
病気にならない秘訣①~
店頭にて
がん①~
免疫①~
免疫パワーを高める養生法①~⑦
花粉症対策①~⑥
目のかゆみ①~⑤
鼻水・鼻汁①~⑦
中医学のかぜ治療法①~③
風邪①~
のどの痛み①~⑦
なかなか治らない咳の漢方①~⑮
気管支喘息①~21
たかがニキビされどニキビ①~⑤
アトピー・皮膚病①~⑱
蕁麻疹①~⑯
皮膚掻痒症①~⑥
掌蹠膿疱症①~⑦
こころの病①~⑮
高血圧①~⑨
慢性疲労①~⑲
不眠症①~⑪
めまい①~⑫
耳鳴り①~⑳
頭痛①~⑫
肩こり①~⑤
胸の痛みと心臓病①~⑮
胃腸病 ①~⑰
食欲不振①~⑬
胃の痛み①~⑱
胃のつかえ①~⑬
腹痛①~⑬
便秘①~⑧
身近な病気 下痢①~⑨
腰痛①~25
ひざの痛み①~⑪
痛風①~③
肥満①~④
腎の働きと病気①~⑱
こじらせると厄介な膀胱炎①~⑩
頻尿①~⑩
排尿困難①~⑦
相談しにくい夜尿症①~⑥
冷え性①~⑨
不妊①~⑧
子宝の知恵 ①~⑯
月経痛①~⑦
月経不順①~⑲
更年期障害①~⑮
からだと健康①~
中医火神派①~50
中医火神派医案新選①~
麗しの島 台湾①~487
北海道の旅①~40
京都の旅①~74
神戸の旅①~⑯
西九州浪漫紀行①~⑳
沖縄の旅①~40
ハワイ旅行①~45
大塚国際美術館
ぶらり横浜 ①~
鎌倉散歩①~⑬
青背魚精
深海鮫スクアレン
深海鮫スクアレンプラスDHA&EPA
養脳精
スーパーナットーゲン
プラゲンΣ 胎盤素
スーパー酵素113
おすすめの本①~
我が家の人気者①~
その他
以前の記事
フォロー中のブログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧