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いきいき元気! 感謝!

中医火神派 李可老中医医案翻訳 その40

李老中医 危急重症難病治療経験
その40

八、流産の前兆
  (一)
  張×娥、23歳、某工場女工。1967年10月7日急診。妊娠2カ月、昨晩就寝後に少腹が灼熱そして痛み、明け方の5時に出血し7時間経っても滴り止まず、出血色は鮮血で煩熱と口苦し、折れんばかりの腰痛と動悸がして落ち着かない。脈弦滑数、120拍/分、舌紅少苔。節度のない房事によって冲任脈を損傷し、相火が妄動したため胎漏下血となった。冲任脈は腎肝に隷属し、腎は受胎の本であり脾は統血と載胎を主どるので、今血熱妄行すると胎気を損傷することになるが、幸いまだ堕胎には至っていない。摂血を以ってその気を俊補し、滋陰清熱し固胎する:
  生黄耆60g、当帰・白芍・九地・紅参(別に弱火でゆっくり煮る)・煅竜骨牡蠣・阿膠(別に化)・苧麻根・白朮各30g、黄芩炭15g、桑寄生・川断炭・杜仲炭・菟絲子・塩補骨脂各30g、艾叶炭・炙甘草各10g、三七3g(研末にて冲服)、胡桃(打)4枚。
煎じて取った濃い汁600mlを3回に分け3時間に1回服用。
  8日朝再診すると、昨晩12時に2回目の薬を服用した後出血は止まり、動悸・腰痛もまた治った。脈斂、尺部弱。顔色は艶のない蒼白に変わり、舌上には薄白苔が出始めたが食欲不振なので、原方から九地・竜骨牡蠣・黄芩・三七を去り、三仙炭各10g、姜炭5gを加え3剤を服用させるとすっかり癒えて、そのまま順調に産み月を迎え一人の男子を出産した。
  
  注釈:本方は当帰補血湯を以って生黄耆を重用し紅参を加えて、補気摂血を以って載胎となす;膠艾四物から川芎を去り滋陰養血・止血を以って安胎となす;寿胎飲(桑寄生・川断・菟絲子・阿膠)合青蛾丸(杜仲・塩補骨脂・胡桃)は補腎益精で冲任脈を固め固胎となす;白朮・黄芩は安胎の聖剤で善く血熱妄行の胎漏下血を治す;苧麻根は止血安胎の専門薬で三七は止血に最も優れている、これら諸薬を相合して陰虚内熱・血熱妄行の胎動下血に対して投薬すれば特効がある。出血多き者は保胎と発育を正常にするため、止血後に泰山盤石散(紅参・黄耆・当帰・白朮・九地・白芍・川断・砂仁・糯米・炙甘草)に紫河車・魚螵膠蛛・亀鹿膠を加え粉にしてカプセルに充填し1回6粒、一日2回連続して服用すれば固本できる。

  (二)
  和平、22歳、双泉峪村農民。妊娠2カ月、1987年10月14日朝突然出血して止まらず、出血量多く色は淡、気喘し四肢は涼、少腹隠痛墜脹し腰痛にて寝返りもできず、食欲は少なく胃酸が湧きあがり顔色は萎黄で艶なく、舌淡で歯痕があり脈数かつ弱、120拍/分。聞いて判ったことは生まれつき体が弱く訳もなく歯茎から出血した。これは先天不足に属し、腎の封蔵が失われ脾陽が虚衰したため、摂血載胎ができない。
  生黄耆45g、酒洗当帰身・酒炒白芍各25g、紅参30g(別に弱火でゆっくり煮る)、三仙炭・姜炭・醋艾炭・柴胡・蘇梗・砂仁・荊芥穂炭各10g、阿膠20g(化入)、煅竜骨牡蠣各30g、桑寄生・炒川断・菟絲子(酒泡)・青蛾丸各30g、炙甘草10g、白朮30g(黄土炒焦)、三七3g(研末冲服)。
煎じて取った濃汁600mlを6回に分け3時間毎に日夜連続して2剤を服用。山茱茰肉100mlを煎じた濃汁をお茶代わりに飲む。
  10月15日二回目の診察:腹痛と出血はすでに止まり食欲も出てきた。脈滑弱80拍/分。まだ腰痛・気短・畏寒を感じる。泰山盤石散から九地・黄芩・糯米を除き紫河車・鹿茸・鶏内金・焦三仙・魚螵膠蛛・亀鹿膠を加え粉にして一回3gを一日2回服用する。上薬を合計3か月弱服用して体質は改善し、順調に産み月を足して無事女の子を出産した。胎動下血は脾の不統血に属す者が一番多く、この型の患者は飲食を運化できないだけでなく薬力の運載も難しい。故に煎じた薬剤を少量ずつ何回服用させる方法が適していて、薬物の血液濃度が保持され病人の消化吸収によく穏やかに奏功する。この型は全ての寒涼滋膩・清熱止血などの品を用いてはならず、一旦滑瀉が出現するとそれは必ず堕胎となってしまう。ブログ上程 その39)

九、習慣性流産
  某炭鉱長の妻、37歳。その時生育を深くは考えず、すでに三人の女の子が生まれていたがどうしても子供が欲しくて、妊娠しては堕胎など繰り返し4回流産をした。1970年10月再び妊娠し、某老医は男の子であると断じ、ただ滑胎がすでに痼疾となっているので保全が難しいということで、ついに余に治療を求めた。聞けば以前4回の流産は、その間隔が最長で半年、最短で70日と判った。今回はまだ妊娠して60日、時として少腹に冷痛・閉脹・肛門の墜脹を覚え、咳き込むと尿漏れし小便多く、折れんばかりの腰痛と夜中に悪夢が多く、目の周りと唇の周囲は色黒く、舌辺尖に瘀斑がある。脈遅渋、58拍/分。色々な症が多く現れているが、瘀阻に属し気虚下陥と腎元不固を兼ねているとわかる。患者は妊娠しては堕胎し、堕胎後直ぐに坐胎補剤を服用したが胞宮の古傷がまだ回復していないだけでなく、積もった瘀血も化瘀されずに瘀の根源となってしまった。この妊娠は砂州の上に7階建てのビルを建てようとするようで、どうしてそれができようか?冲任脈や腎の督脈はすでに傷つき、また胞宮は瘀阻して胞胎の栄養が行き届かず、故に3カ月経たずに必ず堕胎してしまう。病の根源はすでに明らかで、すなわち活血化瘀の法を以って佐とし、益気運血と温陽固腎の中にある。人参黄耆を重用して益気運血し、寿胎丸・青蛾丸・膠艾四物の養血を以って冲脈任脈を養いそして固腎壮胎し、附子・肉桂で命火を養い、少腹逐瘀湯・坤草・澤蘭叶・桃仁・紅花は積瘀を温化し胞宮が栄養を得られるようにすることで胎児の安全を保つことができる。この治法は聞く人を驚かすほど実に危険である。すなわち疏方は、原因の分析と解明を合わせて情況を斟酌して患者に供せられなければならない:
  生黄耆90g、紅参15g(別に弱火でゆっくり煮る)、寿胎飲・青蛾丸各30g、坤草・当帰各30g、赤芍20g、川芎10g、失笑散20g(包)、附子・油桂・没薬・炒小茴香・姜炭・細辛・醋炒艾叶・桃仁・紅花・澤蘭叶・炙甘草各10g。
二度煎じて均等に混ぜ、一日に3回服用すること10剤、もし順調に3か月の堕胎期を過ごすことができれば、その後毎月の初めに3剤を連続服用し産み月まで続ける。
  時を経ずして余は騙されて入獄し1971年秋に釈放された。患者夫婦は消息を尋ねて、わざわざ我が家へ来て余に慰問と感謝の気持ちを表した。聞けば患者は指示通りに薬を服用したおかげで、妊娠中を通して安胎を得られ順調に一人の男の子を出産し、その子が今年27歳になった。その理論の本義をもとにして意義を引き延ばすと、それほど長くない胎萎を治し、妊娠後腹中で死んだ胎児が3か月も出なかったなどを治した。活血化瘀の法は益気運血・滋補冲任を佐とし、温養固腎の諸法を適切にうまく使うことさえできれば、妊娠中の疾患に対してもただ無害なだけでなくかえって奇効があることが判る。もし妊娠に禁忌である千古の戒律を打破しなければ、以上の諸疾患はきっと永遠に治る時期がこないはずだ!“死なないのには訳があり、だから死なないのだ”病があればすなわち病を防ぐように、証があればすなわち用いる薬があり、《内経》の指導思想は永遠に臨床の指南針である!

十、帝王切開産後二便閉結
  沙峪村王秀玲、30歳、婦人科に入院の患者、1984年3月10日会診。3月8日に帝王切開にて出産後急に腹脹し、横になることもできず二便閉結してすでに3日。血色素6g、顔色は蒼白で灰色に近く、声低く息も微かで眼も開けようとはせず、脈芤大無秩序で腹は小さな瓶の様に鼓腸し胸の近くまでせり出していた。導尿や浣腸もみな無効。放屁もなく按じても中は空虚で、病歴を再確認するとすでに3回妊娠しているが、いずれも子宮収縮せずにこれで3回帝王切開している。患者は死にたがるほど腹脹が急で、頻繁に大便の通りを要求した。しかし大きな腹の中は空虚で純粋な気虚不通に属し、いたずらに通利をもち用いればその死を早めるだけである。塞因塞用で多量の補中益気湯を投与すると、大気は一転し諸症状は自ら癒えた。
  生黄耆60g、紅参15g(別に弱火でゆっくり煮る)、白朮30g、当帰30g、柴胡・升麻・陳皮・炙甘草各10g、真木香・沈香・油桂・砂仁各1.5gを研磨粉末にして冲服、葱白3寸、鮮生姜5片、大棗10枚を2剤。
  3月14日二回目の診察:薬を1剤服用すると直ぐに頻繁な放屁へと転じ、腹脹は消えて二便は通じ食欲は増進して乳汁が出始め、2剤服用後にはもう通常と変わらないようになって、血色素は7gにまで上昇した。原方から陳皮を5gに減らし後ろの4味を去り、元肉(竜眼肉)10gを加えて3剤服用後には血色素が10gまで上昇し退院した。すべて気虚失運には生黄耆を必ず大量に用いる。かつて治療した老婦人で、57歳、山医二院外科で直腸がんの手術を行ったあと、7日間小便不通で少腹が妊娠のように鼓腸し、呼吸は急で喘いだ。上方の生黄耆を120gとし、上方から後ろの4味を除いたのち砂仁を潰した汁と冲服し、加えて麝香0.5gを2回に分けて冲服、さらに呉茱茰・油桂各5gを削って粉にして臍の中に填入し、細い艾灸で40分すると通じた。
                                         続く

by sinsendou | 2011-11-18 12:10 | 中医火神派①~50
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